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2017年12月の注目論文

前田嘉信(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学 教授)

2017.12.14

血液専門医である「Hematopaseo」のアドバイザリーボードメンバーが、血液領域の最新論文から注目すべきものをピックアップ。2017年12月分は、前田嘉信氏が担当します。

Mobilized Peripheral Blood Stem Cells Versus Unstimulated Bone Marrow As a Graft Source for T-Cell-Replete Haploidentical Donor Transplantation Using Post-Transplant Cyclophosphamide.

J Clin Oncol. 35(26):3002-3009

Bashey A, Zhang MJ, McCurdy SR, St Martin A, Argall T, Anasetti C, Ciurea SO, Fasan O, Gaballa S, Hamadani M, Munshi P, Al Malki MM, Nakamura R, O'Donnell PV, Perales MA, Raj K, Romee R, Rowley S Rocha V, Salit RB, Solh M, Soiffer RJ, Fuchs EJ, Eapen M.

ここに注目!

post-transplant CYを用いたハプロ移植におけるPBとBMの比較

post-transplant CYを用いたハプロ移植においてオリジナルでは骨髄(BM)が使われていたが、末梢血幹細胞(PB)も幹細胞ソースとして使用が増加している。

本研究では、アメリカで行われた681症例を後方視的に解析し、PBとBMを比較検討した。その結果、両群で生着に有意な差はなかった。grade 2-4の急性GVHDはBM群で有意に低かったが(HR 0.45)、grade 3-4では両群に差がなかった。慢性GVHDはBM群で有意に低かった(HR 0.35)。リンパ腫では差がなかったが、白血病ではBM群で有意に再発が多かった。全生存率は両群に差がなかったが、GVHD free、relapse free survivalはBM群で有意に高かった。慢性GVHDがPBで増加するかも含め、その特徴は前向き試験によって確認が必要だが、現時点ではPBとBM両方とも移植ソースとなり得ると考えられる。

Lenalidomide Maintenance After Autologous Stem-Cell Transplantation in Newly Diagnosed Multiple Myeloma: A Meta-Analysis.

J Clin Oncol. 35(29):3279-3289

McCarthy PL, Holstein SA, Petrucci MT, Richardson PG, Hulin C, Tosi P, Bringhen S, Musto P, Anderson KC, Caillot D, Gay F, Moreau P, Marit G, Jung SH, Yu Z, Winograd B, Knight RD, Palumbo A, Attal M

ここに注目!

初発多発性骨髄腫に対する自家移植後のレナリドミド維持療法の意義

初発多発性骨髄腫に対する自家移植後のレナリドミド維持療法が全生存率を改善するか否かについてこれまで明らかになっていなかった。

本研究では3つの無作為化比較試験、1,208症例をメタ解析した。無増悪生存期間中央値はレナリドミド群(52.8ヵ月 vs. 23.5ヵ月, HR 0.48)で有意に延長した。また、全生存期間もレナリドミド群(中央値 未達 vs. 86.0ヵ月, HR 0.75)で有意に延長した。血液系あるいは固形癌の二次がん発症率は、どちらも有意にレナリドミド群で高かったが、多発性骨髄腫の再発抑制作用を上回るものではなく、レナリドミド維持療法の有効性が示された。なお、同種移植後はその免疫調整作用によりGVHDが悪化し、適切なレナリドミド維持療法の使用法は不明である。

Rituximab after Autologous Stem-Cell Transplantation in Mantle-Cell Lymphoma.

N Engl J Med. 377(13):1250-1260

Le Gouill S, Thieblemont C, Oberic L, Moreau A, Bouabdallah K, Dartigeas C, Damaj G, Gastinne T, Ribrag V, Feugier P, Casasnovas O, Zerazhi H, Haioun C, Maisonneuve H, Houot R, Jardin F, Van Den Neste E, Tournilhac O, Le Dû K, Morschhauser F, Cartron G, Fornecker LM, Canioni D, Callanan M, Béné MC, Salles G, Tilly H, Lamy T, Gressin R, Hermine O; LYSA Group

ここに注目!

マントル細胞リンパ腫に対する自家移植後のリツキシマブ維持療法の有効性

マントル細胞リンパ腫治療における課題は、治癒が困難で再発が多いことである。本研究では、65歳以下の299症例を対象に、自家移植後のリツキシマブ維持療法の有効性を無作為化比較試験で検討した。4コースのDHAP療法後に自家移植を施行、リツキシマブ維持療法は3年間、2ヵ月毎に行われた。無増悪生存率はリツキシマブ群で有意に良好であった(79% vs. 61%)。全生存率もリツキシマブ群で有意に良好であった(89% vs. 80%)。DHAP療法による寛解導入と合わせ、65歳以下の症例に対する標準的治療となり得る良好な成績が示された。